編入体験記 阪大 その1
一昨年の夏(注:コロナ禍前です!)に受験した阪大工学部編入試験の体験記を書いていこうと思います。
今回は大阪大学編入会 (google.com)の受験報告書の様式を大枠として書いていきます。
(受験直後にこの様式で報告書を書いていたのですが、結局阪大編入会の方に投稿しないまま放置していました…)
長くなりそうなので、2部編成にしました。
その1では受験までの流れを、その2では試験の傾向とおすすめの教材の紹介をしようと思います。
基本情報
出身高専での在籍学科:
化学系, どちらかというと化学工学よりの学科でした。
編入年度/学部学科:2020年(令和2年度) / 工学部応用自然科学科応用化学コース
受験日:8月17,18日
受験科目:英語/数学/化学/面接 (調査書あり, TOEICスコア提出なし)
併願校:
出身高専の専攻科学力入試-6月15日受験-合格 (数学/化学/面接/TOEICスコア)
豊橋技科大 応用化学・生命工学一般入試-出願のみ
出身高専での生活(学業面):
各学期ごとの総合成績はクラス(40人)で1-3位をうろついていました。
英語・有機化学・生化学が好きで、化学工学・数学・物理は苦手でしたが、定期試験ではどの科目も8割程度取れていたので、特別悪い成績の科目はなかったと思います。
出身高専での生活(課外活動面):
3年生までは運動系の部活(週6程度)に所属していました。
2-4年生の間は部活以外に3つの同好会とプロジェクト(いずれも週1程度)をかけもちしていましたが、幽霊部員だった時期もあります。
出身高専での生活(研究面):
4年生の12月に第一志望の有機化学系研究室に配属され、5年生の3月まで卒業研究をしていました。入試1か月前はお休みを頂いて受験勉強に専念しました。
当時の生活や受験勉強との両立については別の記事で書こうと思っています。
志望動機
化学(特に有機合成)についてもっと深く学びたいと思い、高専の有機化学の先生に相談したところ、阪大工学部を勧められました。実際、阪大工学部は若手の方も含め、有機合成分野で活躍されている先生方がたくさんいらっしゃいます。
阪大以外にも東工大や京大など、いくつか悩んでいた大学がありましたが、
などを考慮した結果、阪大を第一志望に据えました。
編入勉強をはじめたきっかけ
開始時期:4年生の5月上旬
高専入学当時は、まだ編入について詳しく知らず、就職しようかなぁと考えていました。1年生が終わる頃に「高専の5年間では学びたりない気がする」と思い、将来の選択肢を広げるために普段の成績を維持できる程度は勉強していました。3年の夏休みから徐々に編入を意識し始め、大学のオープンキャンパスにも出向いていました。
しっかりと編入を意識したのは3年生の1月に先輩が開いてくださった編入体験談に参加したときでした。その頃から、授業で使っていた数学の問題集の復習を始めました。
周りの編入志望の人の多くは4年の夏~秋ごろから受験勉強を始めていましたが、私は卒業研究先にコアタイム12時間(月-金)の実験系研究室を志望していたため、周りの人よりやや早く数学の編入用問題集を解き始めました。
各科目の勉強法
阪大工学部は英語・数学・化学、第2志望の専攻科は数学・化学が受験科目だったので、数学と化学に力を入れて勉強しました。どの科目も、「高専での授業の復習をする」「編入の王道といわれている問題集を解く」「実際に過去問を解く」の3ステップで仕上げていきました。
3年生冬
- 編入説明会で先輩方の体験談を拝聴し、やる気がわく
- 先生に進路相談に乗っていただき、第一志望を阪大工学部に決める
- 春休みを利用して青チャート数1Aと高専の指定の問題集(3年生までの分)を解く
- 初めてのTOEIC公開テストを受験する
- 英文法の復習を始める
3年生の2月ごろに第一志望を固めて、勉強する科目を絞りました。この頃は特に数学に対する苦手意識が大きく、定期試験では点数がとれていたものの、あまり定着していませんでした。そんな状態で突然編入用の問題集に手を付けるわけにもいかず、基礎数学と微分積分、代数幾何の土台を固めることから始めました。
3年生の4月にTOEIC IPテストを受験していましたが、受験では公開テストでないと認定されないところが多いということだったので、公開試験を受験しました(685点)。
4年生春
冬に始めた英文法の復習を続けつつ、通学の電車(20分)で英単語を覚える習慣をつけました。ゴールデンウィークに入り、『徹底研究』を解き始めたり過去問に目を通したりしましたが、苦手意識のせいか挫折し、解くのを止めてしまいました。ちょうど心が折れた頃に前期中間試験がやってきて、3年生のときの中だるみも相まって成績順位が1位から4位まで落ちました。
4年生夏
- 運転免許取得のため、教習所に通う
- 長文の対策をはじめる
- TOEIC用に、リスニング対策をはじめる
- 化学の授業の復習をしながら『化学の新演習』を解く
- 腕試しに過去問1年分を解き、撃沈
受験後や編入後に免許を取りに行く自信がなかったので、夏休みには受験勉強と並行しながら自動車学校に通いました。教習所での待ち時間には化学の授業の板書を見返したり、英単語を暗記するようにしていました。また、10月にTOEIC IPテスト(学校で強制)を受験予定だったため、毎日30分程度ラジオやTOEICの問題集の音源を聞いていました。机に向かえる時間は、『英語長文問題精巧』『編入数学徹底研究』『化学の新演習』など、各科目の問題集を解いていました。長時間集中して取り組むのが苦手で、この頃はまだ1日に4-5時間程度しか勉強していませんでした。
また、ここまでの勉強で足りていない部分を再確認すべく、阪大工学部の過去問を1年分解いてみましたが、数学は半分も解けませんでした。数学の先生に質問しに行き、そのたびに励ましの言葉を頂いていました。
4年生秋
夏休みにはじめた復習や各種問題集を継続しつつ、定期試験の勉強にも励みました。数学は『徹底研究』の応用数学の範囲以外を2周し終えたため、同シリーズの『編入数学過去問特訓』に着手しました。高専祭での出展の準備を行うため、10月下旬の2週間はあまり机に向かう時間を確保できませんでした。
4年生冬
- TOEIC公開テスト(2回目)を受験(800点)
- 数学に充てる時間を増やす
- 英作文の対策をはじめる
- 『化学の新研究』で高校化学の暗記をはじめる
- 研究室に配属される
併願校でTOEICのスコア提出が必要だったため、再度12月にTOEIC公開テストを受験しました。納得できるスコアが採れたので、TOEIC対策の勉強を止め、英作文の対策をはじめました。また、数学を長時間する苦痛を感じなくなってきたため、数学に割く時間を増やしました。化学の過去問での出題範囲はほとんどが高校化学で、授業で習っていない暗記部分が多かったため、この頃から『化学の新研究』を読みながら少しずつ暗記していきました。
12月には第一志望の研究室に配属され、研究室生活に馴れるのに精一杯で、平日は1-2時間しか勉強できなくなりました。周りの編入志望の人たちが平日も長時間勉強しているのを見て、かなり焦りを感じていました。
春休み
- 研究室休みに入る
- 専門科目の勉強に力を入れる
- 数学の苦手分野の再復習
3月には研究室が3週間休みとなり、この期間に集中して勉強しました。4月に学科内で就職や編入の推薦を決める専門科目の実力試験が予定されていたため、受験勉強も兼ねて、化学の専門科目を重点的に勉強しました。また、数列や確率などの数学の苦手分野を、再度『編入数学徹底研究』に立ち返って復習しました。
5年生春
- 併願校に対する自信をつける
- 過去問を解き始める
- 応用数学を勉強する
- 研究と受験勉強の両立に悩む
- 出願やホテルの予約などの手続きをはじめる
4月の実力テストで手ごたえを感じ、併願校(専攻科)の受験に対する心配はほとんどなくなりました。一方で研究と受験勉強の両方が思うように進まず、毎日のように友人や先生に励ましてもらっていました。4月中旬ごろからはこれまでの勉強と並行しながら過去問にも着手し、その出来具合で一喜一憂しながら対策を進めていきました。過去問を解くうちに年々応用数学からの出題が増えていることに気付き、習っていない範囲も含め、応用数学を勉強し始めました。
5月下旬から併願校の受験勉強のために3週間研究室を休み、6月には併願校を受験・合格しました。この頃から受験前のプランを立てはじめ、ホテルを予約しました。交通の便のいいホテルはすぐに予約が埋まるので、できれば3ヶ月前くらいに予約した方が良いと思います。私は会場まで電車と徒歩で45分くらいのところ(南方)に泊まりました。新大阪、南方、江坂あたりに泊まっていた人が多かったです。
受験1ヶ月前
- 研究室休みに入る
- 各科目復習を重ねる
- 過去問10年分を解ききる
- 面接の練習を積む
受験1か月前は、あまり新しいことには手を付けず、苦手分野や頻出分野の復習を重ねるように意識しました。 過去問は10年分を1周解き、平均して7割程度は得点できるようになりました。また、研究室の先生や友人に面接の練習もしてもらいました。過去の受験報告書を読み、よく面接で聞かれている内容を把握しておきました。
受験前日
- 何もしない!
- 持ち物と集合時間はよく確認する
緊張であまり深い思考ができなかったので、確認用に作ったまとめノートをめくるだけで、特に勉強はしませんでした。
受験1日め
- 緊張しても体調が悪くても食べられるものを持っていく
- とにかく水分は多めに持参
- 筆記試験だけなので私服でOK(英文等が入っている服は避ける)
受験前日からホテルに宿泊し、早起きするために早めに布団に入りましたが、2時間おきに目が覚め、ほとんど寝ないまま会場に向かいました。乗り物酔いしやすい体質なので、あらかじめ酔い止めの薬は服用しました。緊張で体調が悪くなる可能性は十分あるので、常備薬は日数分持っていくことをお勧めします!
試験が始まってからはアドレナリンが出て、緊張を忘れた状態で受けることができました。工学部の全受験生(90人くらい)が余裕をもって座れる広い部屋で試験を受けました。会場はあまり涼しくなく、飲み物の持ち込み可でした。昼休憩のときはあまり食欲がなかったので、ウィダーinゼリーを飲んでエネルギー補給しました。試験のできは、英語7割、数学7割、化学9割程度だったと思います。受験後に合計得点を開示しましたが、学科内の合格最低点の人で得点率5割程度でした。
試験後、ホテルに戻ってからも、緊張のせいか食欲がわかず、晩御飯はコンビニの雑炊にしました。
受験2日め
- 面接というよりは座談会
2日めもあまり眠れないまま会場に向かいました。集合時間が受験票とともに送られてきた書類に書いてあった時間から30分前倒しになり、1日めの終了時に連絡されていて、危うく間違えそうになりました。集合時間と集合場所には本当に細心の注意を払ってください。
集合後、学科ごとに別の待機室へ移動しました。受験番号は前の方でしたが、そこで40分ほど待機しました。面接は10分程度で、聞かれたことに対してきちんと意思疎通ができるかを確かめる程度のものでした(詳細はその2に書こうと思います)。
無事試験を終え、帰宅したときには疲労感がひどく、放心状態でした。人生で一番緊張した受験でしたが、2日間くらい眠れなくても人間何とかなるもんなんだなと思いました。
1週間後にはHP上で合格発表があり、その数日後に正式に合格証明書が郵送されてきました。辞退する場合にはすぐに書類を提出する必要がありますが、入学する場合には2月ごろまで特にすることはありません。2月ごろまで大学側からの連絡は一切なく、不安になるかもしれませんが、大丈夫です。入学前にしておいた方が良いことについてはまた別の記事に書こうと思います。
長くなりましたが受験を意識してから受験までの流れをお伝えしました。
少しでも参考になれば嬉しく思います。
その2へ続く!!!