編入体験記 阪大 その2
前回の記事では、編入受験を意識したきっかけと、受験までの流れについてお伝えしました。
今回は阪大工学部編入試験の傾向とその対策、使ってよかった参考書を紹介しようと思います。
傾向と対策
過去問10年分(2010-2019)と実際の編入試験(2020)を解いて感じた傾向を自分なりにまとめてみました。
※あくまでも2020年時点ですので、最新版は過去問を見て確認してください
入試は2日間に分かれており、1日目が筆記試験(英語、数学、専門)、2日目が面接です。
[数学(2時間)]
微分積分、代数幾何をメインに幅広く出題されています。ここ2,3年は応用数学(ベクトル解析、ラプラス変換、統計など)の範囲から多く出題されているように思います。高専の授業が間に合わない部分は自分で先取りする必要があります。ただ難易度はそれほど高くないので、次の項目で紹介する編入用の問題集で演習すれば解けるようになります。試験は論述式なので、正答にたどり着けなかったとしても、自分が考えた道筋をしっかり記述することが重要です。確実なことは言えませんが、自分の入試での得点を見る限り、解答を導く過程でかなりの部分点をつけていると思います。
[英語(1時間半)]
長文読解・和訳・英作文・文法穴埋め・文法正誤問題で構成されています。長文読解はScienceからの出題が多いので、過去問とScienceの記事を読みながら対策すれば良いと思います。学校側が登録費を支払っているなら学校のパソコンで読めると思います。オープンアクセスの記事は、登録していなくても読むことができます。そのほかは基本的な文法を高校レベルの参考書で勉強すれば大丈夫です。
TOEICスコアの提出はありませんが、面接時に聞かれることが多く、併願校の受験で必要になることもあるので、受験しておいて損はないです。
[化学(1時間半)]
高校化学の範囲からの出題が多いです。高専の授業で習わない「工業的製法」「産業的利用」などの暗記部分から多く出題されます。高校生が使っている『化学の新研究』という参考書の範囲から外れることはないので、この本を熟読してください。高校化学の範囲を超える内容は出題される割合が少ないですが、高専で学んだ有機化学・無機化学・物理化学を復習しておくと安心できるでしょう。稀に生化学の範囲からの出題もありますが、核酸塩基を答えるなど簡単な問いなので、入試1か月前に確認しておけば対応できると思います。
英語と化学に関しては、基礎ができていれば大きな差がつかないような問題なので、合否はほぼ数学の出来具合で決まっているのかなぁと予想しています。
[面接(10-15分程度)]
以下、聞かれた質問を箇条書きにしました。
- 志望動機
- 1日目の筆記試験の出来
- 高専での卒業研究
- 阪大でしてみたい研究
- 将来の進路
- 海外研修について(高専3年の時にシンガポール・香港に10日ずつ滞在した)
- TOEICのスコア
- クラスの男女比や編入受験した人の割合について(雑談)
面接自体は終始穏やかな雰囲気で、5人の教授から質問を受けました。真ん中の教授がパソコンで資料を確認されていました。おそらく全員の手元に、出願時に提出した調査書があったと思います。面接の際には既に採点された答案が教授の手元にあり、それを見ながら筆記試験の出来を聞いているようです。それ以外は調査書の「所見」の項目に書かれた内容を元に質問されているようでした。調査書の所見を指導教員に書いてもらう場合には、その内容をあらかじめ打ち合わせておくと良いと思います。
当日の手ごたえと得点開示
いずれの科目も時間に余裕があり、見直しをすることができました。過去問を解いたときと同じくらいの難易度・得点率だと思います。
工学部全体
出願者数 : 82人 受験者数 : 54人 合格者数 : 23人 入学者数 : 21人
応用自然科学科応用化学コース
出願者数 : 10人くらい 受験者数 : 8人くらい 合格者数 : 6人 入学者数 : 6人
私の代は応用化学の合格率が非常に高かったです。
[数学]
7割
答えにたどり着かなかった問題が1問、代入する値を間違えた問題が1問ありました。
どの問題もしっかり過程を書いたので、間違っていたとしてもある程度点数はとれていると思います。
[英語]
7割
長文問題と和訳は確実にこなせましたが、穴埋めと正誤問題で分からない問題がありました。
[化学]
9割
試験後に振り返ると、2問凡ミスをしていることに気付きました。
[得点開示の結果]
合格発表後1週間以内であれば得点開示ができます。この得点開示で公開されるのは、「自分の合計点」と「学科内の合格最高点・最低点」です。
配点は募集要項にあるとおり、英語150点、数学200点、専門200点、面接100点、調査書200点の合計850点満点です。合格最低点は特に年度・学科によって大きく異なるようです。
おすすめの参考書
[数学]
・編入数学徹底研究、編入数学過去問特訓 / 金子書房(もとは聖文新社)
・大学編入試験問題数学徹底演習 / 森北出版
いわゆる編入数学の「三種の神器」と呼ばれている問題集です。一般的な編入試験の範囲をほぼカバーすることができます。特に徹底研究はどの大学の編入試験でも必須です。私は大学編入試験問題数学徹底演習は使いませんでした。
・ゼロから学ぶシリーズ(微分積分、線形代数) / 講談社サイエンティフィク
特に数学に苦手意識を持っている人にお勧めします。図解も多く、イメージを大切に学べます。
・なっとくするベクトル解析 / 講談社サイエンティフィク
学校の授業でベクトル解析を習っていませんでしたが、過去に一度出題されていたため、勉強しました。学校の応用数学の教科書を読んで理解できないところを確認するために、補助的に使っていました。
学校の授業進度では受験に間に合わなかったので、フーリエ解析の予習をするために読みました。数学が苦手な人でも読めます!!
[英語]
高校生がよく使っている単語帳です。高専に入学する前から持っていたのでこれを使い続けましたが、システム英単語にこだわる必要は全くないです。自分が見やすいと思う単語帳を一つ決めて、やりこめばいいと思います。「鉄壁」「金のフレーズ」「DUO」を使っている人が多い印象があります。
・高校トレーニングノートβ 英文法 / 受験研究社
英文法の復習に使っていました。こちらも「Forest」「チャート式」など、自分に合ったものであればなんでも良いと思います。
・英語長文問題精講 / 旺文社
高校生が受験用に使っている長文問題集です。意外と難しいので必須ではないです。単語力、読解力がつきます。
・例解 和文英訳教本 長文編 / プレイス
・竹岡広信の面白いほど英作文が書ける本 / KADOKAWA/中経出版
この2冊は英作文の対策用に使っていました。後者はCDもついているので、ディクテーションしながら定着を図りました。
・TOEIC L&Rテスト 文法問題 でる1000問 / アスク出版
併願校でTOEICのスコア提出が必要だったので、TOEICの勉強も一時的にしていました。この本はPart5対策用で問題量が多いので、ひたすら演習を積みたい人におすすめです。
・TOEIC L&Rテスト 究極のゼミ Part2&1 / アルク
・TOEIC L&Rテスト 究極のゼミ Part3&4 / アルク
TOEICのリスニング対策用に使っていた問題集です。2冊に分かれているので持ち運びは不便ですが、問題量はたっぷりあります。
・Speak Up Radio
耳を早めの英語に馴らすために聞いていたラジオです。iPhoneの人はPodcastから、androidの人はYoutubeから聴けると思います。トピックが親しみやすく、はじめは聞き取れなくてもストレスになりにくいです。
TOEIC対策については別の記事で紹介しようと思っています。
[化学]
・化学の新研究 / 三省堂
・化学の新演習 / 三省堂
いずれも高校生が受験用に使っているものです。新研究が参考書(読み物)、新演習が問題集です。新研究を網羅すれば、高校化学の範囲で怖いものはないです。新演習は割と難易度が高いので、時間があれば解くくらいでいいと思います。
有機化学の対策用に使いました。副題にあるとおり、院試にも対応しているのでやや難しい問題もあります。
今回は阪大工学部編入試験の対策法やおすすめの参考書を紹介しました。
TOEIC対策や単位認定、編入後の生活についても後日投稿していきます!